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小山の伝説

小山の伝説・小山百景は、小山市教育委員会文化振興課・小山の昔の写真は、栃木県メディアボランティアに帰属します。無断転載、再配信等は行わないで下さい。

人から人へ、親から子へと長い間語り伝えられてきた伝説、それは生の郷土の歴史であり、かけがえのない文化遺産といっても過信ではありません。
伝説には多少の脚色があっても、郷土に根ざした先人たちのすばらしい英知や心情には現代に生きる私たちの心をとらえてやまない、不思議な力が秘められているように思われます。

小山の伝説

お知らせみそぎの池(中久喜

 中久喜の鹿島台というところに、鹿島社がある。社とはいっても、古びた石の祠である。その近くに小さな池があって、「底なし池」と呼ばれている。どんな日照りでも水がかれない、と言い伝える。むかしから、中久喜の村人たちは、夏の長い日照りのとき、この社に祈って雨乞いをした。そのとき、行者たちはこの池でみそぎをし、心身のけがれを洗いきよめる習わしだった。
 ある年、雨乞いの前日に、ある人が、殺したネコの皮をみそぎの池で洗って、庭のかたすみに干しておいた。あくる日、雨乞いの行事のさいちゅう、鹿島社の御神木の上にあやしい黒雲がわき立ち、稲妻がひらめき雷鳴がとどろいて、激しい大夕立になった。やがて、雲が消え雨がやんだとき、ネコの皮は影も形もなく消えうせていた。
 それ以来、この池で不浄なものを洗うことは、タブーになったという。