人から人へ、親から子へと長い間語り伝えられてきた伝説、それは生の郷土の歴史であり、かけがえのない文化遺産といっても過信ではありません。
伝説には多少の脚色があっても、郷土に根ざした先人たちのすばらしい英知や心情には現代に生きる私たちの心をとらえてやまない、不思議な力が秘められているように思われます。
小山の古いお城は、亀の形をしていたので亀が城ともいわれた。城のお堀りに古亀がいて、合戦のとき敵が攻めて来ると、盛んに霧に吹いて城をかくした。そのために、一度も落城したことがなかった。
それがどうしたことか、最後の合戦には、大亀は霧を吹かなかった。だから、小山の城は落ちたのだ、と伝えられている。